生涯学習情報誌

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三.笛(篠笛/能管)Fue (Shinobue/Nohkan) 三.笛(篠笛/能管)Fue (Shinobue/Nohkan)

日本人に親しまれている素朴な楽器

笛は、竹に歌口と指穴が空いているだけの簡素な構造をしているが、実に多くの種類がある。笛の個性に魅入られた横笛奏者、山田路子さんにナビゲートしていただきました。


能管の高音の響きは、神々しさや恐怖感のほか、天空を翔けるような疾走感にゾクゾクさせられる。

篠笛のピーヒャララの音は、日本人に深く親しまれている。里神楽、獅子舞、民謡、歌舞伎の下座(げざ)音楽まで広く用いられ、その響きは、のどかな田舎の風景から、芝居の自決場面の悲壮感まで、様々な効果音を生み出す。

篠笛は篠竹で作られ、竹笛とも呼ばれる。茅葺き古民家の屋根裏で100年以上燻された煤竹(すすたけ)が最良とされ、丈夫で狂いが少ない上に、澄んだ音色が遠くまで響くという。

篠笛の音高は「本」と呼ばれ、半音刻みで一本から十二本まであり、基本のハ長調の音階のものは八本調子だ。歌舞伎囃子などでは、三味線に合わせて多くの調子の笛が必要で、「○本半」という微妙な高さのものもある。

低音の笛は長く、高音のものほど短くなる。指穴の数も様々で、多くは7穴だが、6穴や4穴の物など、地域によって異なる。三味線や洋楽に合わせやすいのは7穴とされる。

能管も竹製で7穴だが、管の内側に漆を塗り、息を吹き込む唄口と指穴の間に管の内側を細くした喉(のど)というものが入っているのが特徴。主に能楽に用いられるが、「神降ろしの音」とも呼ばれる甲高い神秘的な音が印象的で、歌舞伎などでも効果音として使われる。

歌舞伎の幕の下りる場面で、「空笛」と呼ばれる効果音が入る時がある。吹き方は決められておらず、奏者の感性に任される。篠笛奏者の腕の見せ所だ。

奏者に聴いたその魅力

山田路子 Yamada Michiko

山田路子:千葉県習志野市出身。能楽師一噌(いっそう)流笛方一噌幸弘氏に師事。横笛(篠笛・能管)を用い、古典の技術を活かしながらオリジナルの世界を追求している。2012年にはオリジナルアルバム「mikoto ~ミコト~」、2013年に「いろはに笛と」をリリース。2012年から自主公演「山田路子の武者修行」ライブを開催。「AUN Jクラシック・オーケストラ」のほか、「竹弦囃子」「打花打火」にも参加している。

 盆踊りの太鼓叩きに惹かれ高校で和太鼓部に入部しましたが、篠笛と出会い、こっちの方が面白くなって転向しました。そのころ一噌先生に出会い、先生は古典だけでなくオリジナル曲をやったり、クラシックも学んだりと、垣根のない活動をしていたので、かなり影響を受け、ますます篠笛や能管の面白さにはまっていきました。

笛の魅力は?

 篠笛は祭りのお囃子にも使われますが、地域で全く違う音階や作り方がされていて、独特な世界があって面白いです。

 能管は能に使われる笛ですが、ドレミ音階ではなく系統だってはいません。「ヒシギ」と呼ばれる最高音域の高い音は、鋭く鳴って、和楽器では数少ない、天に突き抜けるようなインパクトのある音が魅力的です。

 笛は職人さんの所に行って、できているものの中から選ぶ時もあれば、こういう笛が欲しいとオーダーすることもあります。AUN Jで使っているのは、篠笛の中でも「唄もの」と言われる、ドレミの音階に合っている種類のものです。

 祭り囃子で使われる篠笛は、その地域ごとに作る職人さんの特色があって、音階もドレミではありません。このお囃子にはこの職人さんの笛と決まっています。

 同じ横笛でもフルートとは違って、竹に穴が空いているだけの素朴な楽器なので、ムラ息など素朴ゆえの味わいもあります。笛それぞれの個性も感じながら演奏を聴かれると、面白いのではないでしょうか。

音を聴いてみよう!

シリーズでご紹介している和楽器の音色を聴くことができます。
第三回は「笛」の5種類の音色(お囃子、八本調子、六本調子、三本調子、能管)をお楽しみください。

監修者:AUNプロフィール
井上公平・井上良平。1969年大阪にて5人兄弟の末の双子として生まれる。1988年、和太鼓集団・鬼太鼓座(おんでござ)に出会い、高校卒業と同時に入座。2000年に「AUN」として独立。2009年、邦楽界で活躍する若手を集めて「AUN Jクラシック・オーケストラ」を結成。公演回数は国内外で1400回以上。子どもたちに日本文化の魅力を伝えるため、全国の小学校を訪問し、和楽器演奏と桜を植える活動もしている。

AUNの最新情報、ライブのご案内などは公式サイトをご覧ください。
http://www.aunj.jp

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