博士の会 第2回 研究発表会
2025年9月21日 三笠会館
博士号取得支援事業の第2回研究発表会は、2025年9月21日、東京・銀座の三笠会館にて開催されました。第1回に続きMCを務めてくださったのは、2013年度支援合格者で博士号取得者の一人・峯村雅子さん。「社会人の博士号取得は自分ひとりで成し遂げられるものではありません。大学院の教官や共同研究者、職場の人たち。さらには、家族の理解・協力があってこそです。周りの方への感謝とさらなるご理解をいただきたい、そういう意味も含めて、本日は何人かの方には家族と一緒にご参加いただいております」と、挨拶の中で趣旨を述べました。



第一部では、3名の博士号取得者から研究発表が行われました。MC峯村さんからの提案により、博士論文そのものの発表ではなく、分野の違う参加者でも興味が持ちやすく、少しでも今後の役に立てるような発表にアレンジされていました。
発表者
玉村 紳
(2022年度支援合格者/2023年博士号取得)
「社会貢献としての生涯学習」


学生時代のアメリカ留学で、『A History of Japan』という本に出会い、自分も研究したいと思っていた。約100年前の大戦間には、日本、インド、東アフリカの間に、ソーダ、それを加工したガラス製品、革製品などの少なからぬ経済交易があったが、現在は日本の貿易全体における比率としては僅かである。自身がそこに光を当て、書籍として社会に示すことで、後世に何らかの社会貢献と恩返しができるのではと考えている。
鞠子 和子 (2021年度支援合格者/2025年博士号取得)
「私がシェイクスピアを好きになったわけ」


62歳でシェイクスピアの原文を読む会に参加したのがきっかけで、翌年には東京大学の大学院に入学するが、76歳の今年やっと学位にたどり着いた。今回は、『コレオレイナス』の分析を通してシェイクスピアの面白さを伝えたい。Ⅰ幕に最終膜の結末を暗示する手がかりが書かれていること。もう一つは、種本があり、それに忠実な点と差異とを比較することにより、シェイクスピアの創作意図が見えてくる。
安部 能成 (2012年度支援合格者/2016年博士号取得)
「プレゼンテーションのコツ」


プレゼンテーションのコツは、単純・明快。安部さんは、スクリーンの投影や資料を使うことなく、スティーブ・ジョブズがMacBook Air発表時に紙の封筒からノートパソコンを取り出し、その薄さと軽さを訴えた伝説的なプレゼンを模し、会場全員の注目を集めて見せた。一見説得力がありそうなグラフや写真も使い方によっては伝わりづらくなる。自分が知る100のうち3を伝えるくらいでちょうどいい。
第一部の締めは、博士号取得支援事業の選考委員長・張 競先生。発表者の選考時のエピソードと、博士号研究を通して示した成果を称え、「社会人の博士号取得は、当事者のためにだけあるのではなく、社会に役立ち、さらには日本のためになる事業です。研究発表会はもちろん、さまざまな機会を通して世の中に広めていきたいです」と述べられました。

第2部冒頭の乾杯のご発声は、長年にわたり生涯学習開発財団をサポートして来られた、公認会計士の滝日徹先生。本支援事業が創設されたいきさつもお話しくださいました。峯村MCによる突撃インタビューには、どの参加者も人前で話すことは経験豊富で、研究の一端をうまく答えておられました。前回に引き続きじゃんけんゲームも行われ、勝ち残った方には、財団特製「HAKUSHINOKAI」ロゴ入りのブックカバーが贈呈されました。





















動画でも発表会の様子をご覧いただけます。
生涯学習開発財団では、博士号取得支援事業がより広く世の中に知られ、博士のみなさんの研究がより日本の役に立つよう、これからも活発に活動をしていきたいと思います。
博士の会は、財団の博士号支援事業の支援を経て学位を取得した方は、博士号を取得した時点で自動的に会員とさせていただいております。ただし、まだ学位を目指して論文執筆中であっても、研究発表会や情報交流会にはご参加いただけます。
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公開日:2025年10月XX日

