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九.胡弓 Kokyu 九.胡弓 Kokyu

新しい魅力を磨き未来につなぐ新しい魅力を磨き未来につなぐ

「おわら風の盆」の調べで有名な胡弓だが、専門の演奏家や楽曲はとても少ない。オリジナルな取り組みで胡弓の普及に努めている木場大輔さんの活躍をご紹介します。

富山県を代表する伝統行事、富山市八尾地区の「おわら風の盆」では、哀愁を帯びた胡弓の音色に合わせて踊ることで有名だ。

胡弓は日本の伝統楽器で唯一の擦弦楽器。形状は三味線に似て、胴に皮を張り、棹に絹糸をかける。全長70cmくらいで、胴体下に8cm程度突き出た中子先(なかごさき)と呼ばれる部分が特徴的だ。

材質は、棹が紅木、胴が花梨、糸巻が黒壇などであることが多い。弦は三弦が主流だが四弦のものもある。弓は民謡用で80cm前後、古典用では100〜120cmとかなり長い。束になった馬の毛がゆるく張られていて、右手で弓の毛の根元を引き締めながら演奏する。

左手の奏法は三味線と似ているが、胡弓は弓で擦って奏でるため、持続音や和音も出せる。擦る弦を変える際は、ヴァイオリンのように弓の角度を変えるのではなく、楽器本体を回しながら演奏するのが特徴。

胡弓の起源には諸説あるが、約400年前の江戸時代初期、すでに日本独自の楽器として存在した。その後、地歌、箏曲、義太夫節、民謡などにおいて、三味線奏者や箏奏者が胡弓を兼任する形で伝承されてきた。そのため、胡弓専門の演奏家や胡弓のための楽曲といった形の発展は限定的だったが、現代的演奏においてはそうしたことも積極的に取り組まれている。

懐かしい和の響き、ヴァイオリンのような精緻な洋楽の音色、そしてアジアンテイストの空気感が、同じ楽器から奏でられる。

奏者に聴いたその魅力

木場大輔 Kiba Daisuke

淡路島出身。甲陽音楽学院にて音楽理論とピアノを学ぶ。古典胡弓を原一男氏に師事。江戸時代より伝わる胡弓の伝統を尊重しつつも、四絃胡弓の開発、作曲など、胡弓の可能性を追求している。NHK Eテレ「にっぽんの芸能 花鳥風月堂」、NHK総合「バナナゼロミュージック」などに出演。吉田兄弟全国ツアーや、映画「駆込み女と駆出し男」サントラに参加など、幅広く活動を展開している。

中高生の頃はジャズ・ピアノをやっていて、大学で作曲表現を広げたいと思い、世界の民族音楽や伝統楽器を研究していました。弓で奏でる弦楽器を調べていく中で、日本にも胡弓という楽器があるのを知りました。いろんなルートから探してやっと巡り会い、楽器屋さんから先生を紹介してもらったのです。

胡弓専門の演奏家がいないのは、胡弓が主役になれるレパートリーが少ないからだと感じ、自分の作曲の経験が活かせると直感しました。古典と並行して、越中おわら節、文楽の阿古屋琴責(あこやことぜめ)の段、郷土芸能など、各地で伝わる胡弓の曲目や奏法を研究。それをベースに新たに作曲、古典曲への手付などをして、胡弓の魅力をさらに磨いて次世代に渡すという、活動の方向性を決めました。

ヴァイオリンと同様に弦に弓を当てて演奏するため、駒は中央が高い山形になっている。四弦胡弓は木場氏自身が開発したもの。

未来の古典となり得る活動を

胡弓とピアノ、シンセサイザーによる「KODACHI」、胡弓と箏、二十五弦箏による「生糸」、胡弓、筑前琵琶、箏、尺八による「おとぎ」などのユニットをベースに活動しています。古典から最新のアプローチまでを一つのコンサートで聴いてもらうと、わかりやすく伝わると思い、2015年にコンサートシリーズ「胡弓いま⇄むかし〜伝えたい音、今奏でる〜」を立ち上げました。胡弓の伝統技法を踏まえた上で、未来の古典となり得る新感覚の主奏作品を作りながら、レパートリーを広げる取り組みをしています。

楽器も改良。低音弦を追加した四弦胡弓を開発し、弓の重心を変えて、伝統奏法から現代の複雑な技巧にまで対応できるようにしました。奏者育成のため、東京、横浜、大阪で技術指導と古典曲の伝承、普及に努めています。一般向け胡弓体験会も開催しています。

音を聴いてみよう!

シリーズでご紹介している和楽器の音色を聴くことができます。
第九回は「胡弓」の演奏をお楽しみください。

監修者:AUNプロフィール
井上公平・井上良平。1969年大阪にて5人兄弟の末の双子として生まれる。1988年、和太鼓集団・鬼太鼓座(おんでござ)に出会い、高校卒業と同時に入座。2000年に「AUN」として独立。2009年、邦楽界で活躍する若手を集めて「AUN Jクラシック・オーケストラ」を結成。公演回数は国内外で1400回以上。子どもたちに日本文化の魅力を伝えるため、全国の小学校を訪問し、和楽器演奏と桜を植える活動もしている。

AUNの最新情報、ライブのご案内などは公式サイトをご覧ください。
http://www.aunj.jp

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